大学一年を終えての春休み。20歳の春。
ついに憧れのフランスの地を踏んだ僕は、まずパリで一週間滞在した。一区の1つ星ホテル(120FF)に泊まり、観光というより徘徊の日々。アニエスなどの洋服屋、FNACなどのCDショップや中古盤屋、映画館、ジャズクラブ、ディスコ、などなど。
夜に酔っ払って『汚れた血』のマネをして走ったり、『ポンヌフの恋人』を観てから夜のポンヌフの上をこれまた走り回ったりしたのは若さゆえのなせる業だったのか。
そんなこんなでふらふらしてると、後につきあうことになる予備校時代の友人にばったり会ったのはポンピドゥー・センター前でした。
パリでの滞在の後に南仏へ降りた自分は、マルセイユやエクサン・プロヴァンスなどでぶらぶらした後、なんとか連絡がついた人を辿ってボルドーへ。
フランス語会話学校で同窓だった彼女に、ほのか(とはいえない明らか)な恋心を抱いていたものの、そこにいたのは恋のライバル、名古屋の大きな酒屋の息子のボンボン。気障な服を身にまといワインの勉強に来ていた、というよりは遊び留学がホントのとこだろう。
その二人と留学仲間を交えて一緒に飲んだ晩、当時日本酒で1升は飲めたはずの自分がワインで派手に酔ってしまい、その気障な彼氏に介抱されホテルまで送られ、恋の戦いの負けを悟ったのでした。
ボルドーを去って次に向かうは、ナントの街。ジャック・ドゥミーの『ローラ』の舞台。列車の通過駅にはあのロシュフォール!もちろん『ロシュフォールの恋人たち』の舞台の街です。
ジャンゴ・ラインハルトからステファン・グラッペリを経てミッシェル・ルグランを知り、またいわゆるフランスおたく(当時)であった自分は感無量の思いでロシュフォールを眺めつつナントに到着したのでした。
ですが、ナントで待っていたのは
水あたり。酔っ払って吐いたのを除けば順調に来ていた旅で初の身体のトラブル。地場のビストロでしこたま貝類やシーフードを食べワインや水道水をぐびぐび呑み、歓楽街にある1つ星ホテルに帰ってきたところで、突然身体が急変。
お腹が七転八倒の痛みを発し、悶絶至極。しばしもだえた後にフロントに医者を呼んでもらい、来た医者に注射を撃ってもらい薬を貰って何とか回復。
これは何かの呪いかと、回復した後はドーヴィルなどへ行くことなくヴァンヌなどのみ回ってパリに戻り、やはり徘徊の日々を始めたのでした。
昼は蚤の市ではタンタンやアステリクスの漫画を買いあさり、サントラを捜し求め、夜はジャズ・クラブで酔っ払う。
今は嫌煙の自分が未だゴロワーズを吸い、バカスカ酒を飲んでいた20歳の頃の話でした。
なぜベイベー姐さんにTBしようとして、こんな話になったのだろう。
※この時点では『ローラ』は未見です。憧れの女優アヌーク・エーメと監督ジャック・ドゥミという組合せだけでドキドキしましたね。
ああ、なんで『男と女』の舞台ドーヴィルにいかなかったのだろう。モンパルナスは散々徘徊したのに・・・